病院会計準則の体系

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1 病院会計準則設定の目的
 病院会計準則 総則第1目的に「病院会計準則は、病院を対象として、会計基準を定め、病院の財政状態及び経営状況を適正に把握し、病院の経営体質や強化、改善向上に資することを目的する。」と記載され、病院会計準則が病院経営に有用な会計情報を提供することを確認している。

■病院会計準則の性格
@ 非営利性、公益性を前提とする非営利組織会計基準
A 病院という施設に関する会計基準
B 異なる開設主体のすべてに適用され、開設主体間の比較可能性を確保する
C 企業会計方式を採用した会計基準

2 病院会計準則の財務諸表
 病院会計準則の財務諸表は、貸借対照表及び損益計算書、キャシュ・フロー計算書、付属明細書からなります。

 会計制度
  制度会計(法律の裏付有)
  ●財務会計
  ●税務会計
  非制度会計(事業体により設計)
  ●管理会計等
   病院会計準則が含まれる。

 病院会計準則
  貸借対照表
  損益計算書
  キャッシュ・フロー計算書
  付属明細表

(1)貸借対照表作成の基準
貸借対照表は、病医院の財政状況を表示するものであり、資産と負債に区分され、その資産(負債)は、流動資産(流動負債)と固定資産(固定負債)の順に表示する。その表示される勘定科目は正常営業循環基準及び1年基準のルールにより表示されます。

(イ)正常営業循環基準(ノーマル・オペレーティング・サイクル)
通常の取引により生じた資産・負債は、流動資産・流動負債に計上する。例えば、医業収入の未収入金は、その回収期間が1年以上であっても流動資産に計上し、薬品等の代金未払(買掛金)は、その支払期間が1年以上であっても流動負債に計上する。

(ロ)1年基準(ワン・イヤー・ルール)
1年以内に回収される債権は流動資産に計上し、1年以内に支払われる債務は流動負債に計上する。例えば、職員等への貸付金の回収が1年を超える場合は、固定資産へ計上し、1年以内に支払わなければならない借入は、流動負債へ計上する。 この区分は、正常営業循環基準が優先されます。

(2)損益計算書作成の基準
損益計算書は、病院の一定期間の経営成績を表す計算書です。つまり、収益から費用を差し引いて利益(損失)を計算します。損益計算書は病医院の経営成績を表すものであり、その利益(損失)がどのようにして生じたか明らかにする必要があります。例えば、診療行為により生じた利益と不動産等を売却した利益が同一に表示されては本来の病医院の経営状態を的確に判断することが困難となります。 このため主たる医業活動で生じたもの、それ以外で生じたものかを明らかにするため損益計算書は、「経常損益」と「特別損益」の2つに大別しています。

 ●主たる医業活動で生じる損益項目
 :経常損益 経常利益(経常損失)
 ● それ以外の経営活動により生じた損益項目
 :特別損益 税引前当期純利益
  (税引前当期純損失)

(3)キャシュ・フロー計算書作成の基準
キャッシュ・フロー計算書の作成目的は、キャッシュ・フロー計算書原則第41において、「キュッシュ・フロー計算書は、病医院の資金の状況を明らかにするために、活動内容に従い、一定期間に属するすべての資金の収入と支出の内容を記載し、その増減の状況を明らかにしなければならない。」と示されております。つまり、収益や費用は、採用する会計方針により計上額が左右されることから比較可能性が必ずしも確保されていない事、会計上、利益があっても資金的に不足している場合もあり病医院の資金状況を明らかにするための資料となります。キャッシュ・フロー計算書は、下記に区分して計算します。

■キャッシュ・フロー計算書の分類

● 業務活動によるキャッシュ・フロー
● 投資活動によるキャッシュ・フロー
● 財務活動によるキャッシュ・フロー

■計算区分の内容
@ 業務活動によるキャッシュ・フロー
 医業損益計算の対象となった取引の他、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記入する。
A 投資活動によるキャッシュ・フロー
 固定資産の取得及び売却、施設設備補助金の受入による収入、現金同等物に含まれない短期投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記入する。
B 財務活動によるキャッシュ・フロー
 資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローを記入する。

(4)付属明細表作成の基準
付属明細表の作成目的は、付属明細表原則49に「付属明細表は、貸借対照表、損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書の記載を補足する重要に事項について、その内容、増減状況等を明らかにするものでなければならない。」と示されています。これは、企業会計原則の一般原則 「明瞭性の原則」「重要性の原則」から財務諸表が作成されており、財務諸表の科目について、貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書は、集約化を計り、一覧性を重視して設定しているため、詳細な情報は付属明細表によって補完して開示します。

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