第3 施設及び設備に関する基準
第3 施設及び設備に関する基準
1 一般原則
(1)介護老人保健施設の施設及び構造設備については、基準省令のほか建築基準法、消防法等の関係規定を遵守するとともに、日照、採光、換気等について十分考慮したものとし、入所者の保健衛生及び防災につき万全を期すこと。
(2)介護老人保健施設の環境及び立地については、入所者の療養生活を健全に維持するため、ばい煙、騒音、振動等による影響を極力排除するとともに、交通、水利の便等を十分考慮したものとすること。
2 施設に関する基準
(1)基準省令第3条第1項各号に掲げる施設(設置の義務づけられているもの)については、次の点に留意すること。
(1) 機能訓練室、談話室、食堂及びレクリエーション・ルームを区画せず、一つのオープンスペースとすることは差し支えないが、入所者に対する介護保健施設サービスの提供に支障を来さないよう全体の面積は各々の施設の基準面積を合算したもの以上とすること。
(2) 施設の兼用については、各々の施設の利用目的に沿い、かつ、入所者に対する介護保健施設サービスの提供に支障を来さない程度で認めて差し支えないものであること。したがって、談話室とレクリエーション・ルームの兼用並びに洗面所と便所、洗濯室と汚物処理室が同一の区画にあること等は差し支えないこと。
(2)各施設については、基準省令第3条第2項に定めるもののほか、次の点に留意すること。
(1) 療養室
療養室に洗面所を設置した場合に必要となる床面積及び収納設備の設置に要する床面積は、基準面積に含めて差し支えないものであること。
(2) 診察室 医師が診察を行うのに適切なものとすること。
(3) 機能訓練室
介護老人保健施設で行われる機能訓練は、理学療法士又は作業療法士 の指導下における運動機能やADL(日常生活動作能力)の改善を中心 としたものであるので、これに必要な器械・器具を備えること。
(4) 談話室
談話室には、入所者とその家族等が談話を楽しめるよう、ソファー、テレビその他の教養娯楽設備等を備えること。
(5) 浴室
入浴に全面的な介助を必要とする者に必要な特別浴室については、その出入りに当たってストレッチャー等の移動に支障を生じないよう構造設備上配慮すること。
(6) サービス・ステーション
看護・介護職員が入所者のニーズに適切に応じられるよう、療養室のある階ごとに療養室に近接して設けること。
(7) 調理室
食器、調理器具等を消毒する設備、食器、食品等を清潔に保管する設備並びに防虫及び防鼠の設備を設けること。
(8) 汚物処理室
汚物処理室は、他の施設と区別された一定のスペースを有すれば足りること。
(9) その他
イ 焼却炉、浄化槽、その他の汚物処理設備及び便槽を設ける場合には、 療養室、談話室、食堂、調理室から相当の距離を隔てて設けること。
ロ 床面積を定めない施設については、各々の施設の機能を十分に発揮し得る適当な広さを確保するよう配慮すること。
ハ 薬剤師が介護老人保健施設で調剤を行う場合には、薬剤師法の規定により、調剤所が必要となること。
(3)基準省令第3条第3項は、同条第1項各号に定める各施設が当該介護老人保健施設の用に専ら供するものでなければならないこととしたものであるが、介護老人保健施設と病院、診療所又は指定介護老人福祉施設等の社会福祉施設(以下「病院等」という。)とが併設される場合(同一敷地内にある場合、又は公道をはさんで隣接している場合をいう。以下同じ。)に限り、次に掲げるところにより、同条第3項ただし書が適用されるものであるので、併設施設(介護老人保健施設に併設される病院等をいう。以下同じ。)と施設を共用する場合の運用に当たっては留意すること。
(1) 次に掲げる施設については、併設施設との共用は認められないものであること。
イ 療養室
ロ 談話室
ハ サービス・ステーション
ニ 洗面所
ホ 便所
(2) (1)に掲げる施設以外の施設は、介護老人保健施設と併設施設双方の施設基準を満たし、かつ、当該介護老人保健施設の余力及び当該施設における介護保健施設サービス等を提供するための当該施設の使用計画(以下「利用計画」という。)からみて両施設の入所者の処遇に支障がない場合に限り共用を認めるものであること。
(3) 共用する施設についても介護老人保健施設としての許可を与えることとなるので、例えば、併設の病院と施設を共用する場合には、その共用施設については医療法上の許可と介護老人保健施設の許可とが重複するものであること。
(4)設置が義務づけられている施設のほか、家族相談室、ボランティア・ルーム、家族介護教室は、介護老人保健施設の性格等からみて設置が望ましいので、余力がある場合には、その設置につき配慮すること。
3 構造設備の基準
基準省令第4条に定める介護老人保健施設の構造設備については、次の点に留意すること。
(1)耐火構造
同条第1号本文にいう建物は、療養室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルーム、便所等入所者が日常継続的に使用する施設(以下「療養室等」という。)をいう。
(2)エレベーター
介護老人保健施設の入所者が寝たきり老人等介護を必要とする老人であることから、療養室等が2階以上の階にある場合は、屋内の直通階段及びエレベーターの設置を義務づけたこと。
(3)階段
階段の傾斜は緩やかにするとともに、手すりは原則として両側に設けること。
(4)廊下
(1) 廊下の幅は、内法によるものとし、手すりを含むものであること。
(2) 手すりは、原則として両側に設けること。
(3) 中廊下は、廊下の両側に療養室等又はエレベーター室のある廊下をいうこと。
(5)入所者の身体の状態等に応じた介護保健施設サービスの提供を確保するため、車椅子、ギャッチベッド、ストレッチャー等を備えること。
(6)家庭的な雰囲気を確保するため、木製風のベッド、絵画、鉢植え等の配置や壁紙の工夫等に配慮するとともに、教養・娯楽のための本棚、音響設備、理美容設備等の配置に努めること。
(7)車椅子等による移動に支障のないよう床の段差をなくすよう努めること。
(8)介護老人保健施設と病院等の施設を同一建物として建築する場合は、表示を明確にすること、壁や廊下の色等を変えること等により施設の区分を明確にすること。ただし、介護老人保健施設と病院等にそれぞれ専用の入口が設けられている場合については、それぞれに通じる建物の玄関、ホール、階段、エレベーター、廊下等は共用できるものであること。
(9)同一階に、病院等と介護老人保健施設とが共存するものは原則として認められないこと。ただし、病院等又は介護老人保健施設の入所者が直接利用しない施設はこの限りでないこと。
(10)基準省令第3条第7号に定める「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法第17条の規定に基づく消防用設備等及び風水害、地震等の災害に際して必要な設備をいうこと。
4 経過措置
(1)介護保険法施行法第8条第1項の規定により開設の許可を受けたとみなされる介護老人保健施設(以下「みなし介護老人保健施設」という。)のうち、老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準の一部を改正する省令(平成6年厚生省令第1号)附則第2項の規定(病床転換に係る老人保健施設の床面積の特例)の適用を受け、基準の施行の際老人保健施設として開設していたものについては、療養室の入所者一人当たりの床面積は6平方メートル以上で差し支えないこととした(基準省令附則第4条)。
(2)みなし介護老人保健施設であって、平成4年9月30日以前に老人保健施設として開設していたものについては、食堂の入所者一人当たりの床面積については1平方メートルで差し支えないこととした(基準省令附則第5条)。
(3)みなし介護老人保健施設であって老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準(昭和63年厚生省令第1号)附則第3条(病床転換に係る老人保健施設のエレベーターの特例)の適用を受け、基準の施行の際老人保健施設として開設していたものの構造設備(当該適用に係る部分に限る。)については、エレベーターの設置を義務づけないこととした(基準省令附則第6条)。
(4)みなし介護老人保健施設であって、老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準附則第2条第1項の規定(病床転換に係る老人保健施設の廊下幅の特例)の適用を受け、平成12年1月19日までに開設したものについては、廊下幅の規定は適用しないこととした(基準省令附則第7条)。
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